花と大自然の利尻・礼文を訪ねて!

                                                      2004.5.31〜6.2

 
 1日目(5/31 MON)
 
  羽田空港10:20集合のため、のんびり9時40分に我が家を出発。搭乗券をもらい、お弁当を買って、各自で搭乗。
 ANA−571便は、ほぼ満席で、定刻11:10より20分遅れて離陸、順調に飛行して13:15、稚内空港に着陸。天候
 は雨で、気温14度とちょっと寒い感じだ。

 
  空港には、小笠原さんという男性の添乗員が出迎えてくれ、ツアーの参加者、30名をバスに案内してくれる。予定で
 は稚内公園を見ることになっていたが、生憎、雨なので、3日目に予定されているノシャップ岬へ行くことにする。バス
 は空港を出て稚内市街へ向かい、約20分ほどで稚内駅前を過ぎ、さらに10分ほどでノシャップ岬に到着する。
 
  ノシャップは「岬がアゴのように突き出たところ、波の砕ける場所」という意味のアイヌ語、ノッ・シャムが語源で、その
 名の通り、日本海と宗谷海峡の間に突き出た岬である。岬には、目の前に雄大な日本海とその海に浮かぶ利尻富士
 が見渡せ、夕日が美しいことでも知られる恵山泊漁港公園があるが、今日は小雨のため、利尻富士も見えず、イルカ
 の像とノシャップ岬の看板が寂しく立っているだけである。

  この他ノシャップ岬には、出雲日御崎灯台に次ぎ2番目の高さを誇る稚内灯台、クリオネや風船魚がいるノシャップ寒
 流水族館、南極観測隊が基地で使用した衣類や施設などが展示されている稚内市青少年科学館などがある。

 
    ノシャップ岬 恵山泊漁港公園   
 
  再び稚内市内に戻り、利尻島へ渡るフェリー乗り場の稚内港へ。15:30発のフェリーは、3,551トンと大きく、今日は波
 が静かで、それほど揺れることなく1時間40分の乗船で、定刻17:10に利尻島・鴛泊港へ接岸。ここからバスで10分
 程のところにある姫沼へ行く。

 
  姫沼は利尻山の麓の原生林に囲まれた神秘的な沼で、利尻富士を水面に映す景色が素晴らしいとのことであるが、
 今日はその景色は見られないのが残念だ。周囲が約1kmほどで、木道の遊歩道をオオバナノエンレイソウやマイズ
 ルソウ等のかわいい高山植物を見ながら20分ほどで1周して来る。近くに「日本百名水」の一つ「甘露泉水」があり、
 姫沼にも同じ泉水が湧いていて、ペットボトルに汲んでくる。

 
    利尻島 姫沼     
 
  姫沼から、今夜の宿のある西岸の沓形へ。宿に入る前に沓形岬公園に寄る。ここには利尻町出身の詩人・時雨音羽
 の「どんとどんとどんと波のり越えて・・・」の詩碑やそれを歌にした「出航の港」の音楽碑が立っている。一帯には、チシ
 マフーロ、エゾカンゾウ、エゾイヌナズナ、リシリヒナゲシやクロユリなどが咲いている。

 利尻島 沓形岬 時雨音羽の詩碑と音楽碑
    
  
       エゾイヌナズナ         エゾカンゾウ
 
      
         クロユリ          リシリヒナゲシ
 
  沓形岬公園の散策を終え、18:45今夜の宿、ホテル利尻にチェックイン。すぐに夕食だ。ウニ、カニ、ホタテなどの海
 の幸が美味しい。

 
 第2日目(6/1 TUE)
 
  雨は上がっているが、曇っていて残念ながら利尻富士は見えない。朝食後、8:00に出発。途中、車窓より人面岩や
 大きな熊が海で昼寝をしているように見える寝熊の岩、赤い鳥居と海岸に突き出た岩場にある祠の北のいつくしま弁
 天宮をみながら、島の南端にある仙法志御崎公園へと向かう。
  園内には天然の水族館である自然磯観察場があり、夏の間だけ水族館から出稼ぎ?にきているゴマフアザラシ等が
 いる。また、センダイハギ、イワベンケイやチシマフーロなどがきれいに咲いている。
 
          利尻島 仙法志御崎公園         
 
            
          
イワベンケイ               チシマフーロ

 
  仙法志御崎公園から10分ほどでオタトマリ沼に着く。神秘的な姫沼とは対照的で広々雰囲気の、利尻島でいちばん
 大きな沼である。ここではまだ八重桜が咲いている。沼の周りには木道の遊歩道が設置されていて、20分ほどで一周
 できる。一回りしてくると、運良く利尻富士が見えてきた。

 
    利尻島 オタトマリ沼   利尻島 オタトマリ沼畔の八重桜
 

  オタトマリ沼を後にして、礼文島に渡るため鴛泊港へ。これで、昨日から今日にかけて利尻島を一周したことになる。
 
  10:05発のフェリーに乗船。この頃から晴れてきて、船から利尻富士がよく見える。40分の航行で礼文島の香深港
 に到着。まずはネイチャーガイドのお兄さんの同行で桃岩展望台ミニハイクへ。
 

   利尻島 鴛泊フェリーターミナルにて プリンス宗谷丸  フェリーから見る利尻富士  フェリーで一休みするウミネコ
 
  「海の上の北方植物園」と云われる花の島・礼文島では春から秋にかけ沢山の珍しい高山植物が咲く。濃いピンクの
 花がきれいなハクサンチドリやサクラソウモドキ、ミヤマキンポウゲ、イワベンケイ、チシマフーロなどが咲いている遊歩
 道を30分ほど歩くと、「桃岩付近に咲く高山植物」の絵が書かれた大きな看板が立っているところにでる。ここで小休
 止。ここから10分ほどで桃岩展望台に着く。

 礼文島 桃岩展望台への遊歩道から東海岸を望む
             
 
         ハクサンチドリ            レブンソウ

          
       レブンコザクラ       エゾノハクサンイチゲ      ネムロシオガマ         ヒトリシズカ
 
  桃の形をした桃岩が目の前に見え、眼下には、海の上にネコがいるように見える猫岩が浮かぶ元地海岸の眺望が
 広がっている。桃岩展望台からの素晴らしい眺めを堪能して、再び遊歩道を下りバスへ戻る。
 
                桃岩展望台から 中央の小さな島が猫岩、右手が桃岩
 

  バスは香深の町を通り、東海岸沿いの道路を北上する。右手海上には素晴らしい利尻富士の姿が見えている。香深
 井の海岸にたたずむ安産祈願の神社「見内神社」を右手車窓に見て進むと間もなく右手に、金環日食観測記念碑が立
 っている。この記念碑は昭和23年(1948)5月9日の金環日食の観測を記念したもので、大きさは 1.5mの自然石であ
 る。

 
     車窓より見る利尻富士   安産祈願の神社「見内神社」   金環日食観測記念碑
 

  カニの爪のような形をした島の北側の東(右)側の岬、金田ノ岬でちょっと遅めの昼食。ボタンエビと鮭・イクラの親子
 丼にウニの小皿がおまけについて、さすが船舶・漁協直営店だけあり、美味しく、大満足だ! この食堂の脇にも、エゾ
 イヌナズナがきれいに咲いていた。

 
  
昼食後は、船泊鉄府のレブンアツモリソウ群生地へ。レブンアツモリソウは礼文島固有のラン科の植物で、絶滅の恐
 れのある国内希少野生動植物種に指定されている貴重な植物で、この レブンアツモリソウの群生する区域は天然記
 念物に指定され保護されていて、ボランティアの方が24時間体制で監視をしているのだそうである。

 
      船泊鉄府のレブンアツモリソウ群生地        
                                                       レブンアツモリソウ
 
  
柵で囲われた群生地に入ると、平敦盛が母衣を着ている姿に見立てて、その名がつけられたという、緑がかった黄
 白色をしているレブンアツモリソウがあちこちに咲いている。その美しさに感動!その他、側花弁が紫褐色をしたカラフト
 アツモリソウや、クゲヌマランなどが咲いている。

 
                
 
            
レブンアツモリソウ                カラフトアツモリソウ        クゲヌマラン

 
  レブンアツモリソウを見た後は、西海岸の西上泊の澄海岬へ行く。駐車場から5分ほど歩くと澄海岬展望台に出る。
 その名の通り、青く澄んだ海が眺められる。入江の向うには稲穂岬、さらにその奥にゴロタ岬が眺められる景色も素晴
 らしい。礼文島西海岸の景観を楽しみ駐車場に戻り、売店で、ガイドさんお勧めの「たこざんぎ」(タコのから揚げ)を食
 べる。なかなかイケる。
 
     礼文島 澄海岬にて 礼文島 澄海岬にて 礼文島 澄海岬から稲穂岬方向を見る
 

  澄海岬から礼文島最北端のスコトン岬(漢字では須古頓と書く)へ向かう。一旦浜中まで戻り、江戸屋という所から尾
 根沿いを走る山道へ入る。山道を登ると丘の上に出て、前方に海が見えてくる。スコトン岬の北にある無人島のトド島
 を眺められる展望台があり、後ろを見ると利尻富士が見え、景色抜群だ。ここには、銭屋五兵衛貿易の地記念碑や上
 村占魚の句碑も立っている
 

         礼文島 江戸屋山道展望台より利尻富士を望む     
 
  山道を下ると間もなくスコトン岬に出る。岬の展望所には「最北限の地スコトン岬」の標柱が立っていて、正面にはトド
 島と呼ばれる無人島が浮かんでいる。また、駐車場の脇には「最北限のトイレ」があるが、宗谷岬の方がわずかに北に
 位置し、そちらには「日本最北端の地」の碑がある。

 
         スコトン岬 「最北限のトイレ」       礼文島 スコトン岬にて トド島を望む
 
  スコトン岬から船泊にある、周囲約4kmの礼文島唯一の淡水湖・久種湖の湖畔を通り東海岸へ出て、今夜の宿があ
 る香深ヘ向かう。礼文島は南北に細長い島で、西海岸には車道がなく、島を一周することが出来ず、来た時と同じ道を
 戻ることになる。

 
  今日の宿、三井観光ホテルには5時前と早めのチェックイン。利尻富士が眺められる大浴場でゆっくりと入浴したあと
 利尻富士を眺めながら美味しい海の幸の夕食で、これまた大満足!

 
 第3日目(6/2 WED)
 
  今日もよい天気だ。8:45発の稚内行きフェリーに乗るため、早めに乗船場へ行く。乗船を待っていると、突然雲が出
 てきて、今までよく見えていた利尻富士が見えなくなってしまった。添乗員さんによると、こういう事はよくある事なのだ
 そうだ。

 
  最北の街を見下ろす丘にある稚内公園には、樺太(現サハリン)への望郷の念と樺太で亡くなった日本人を慰霊する
 ために昭和38年に建てられた、公園を代表するモニュメントである「氷雪の門」や昭和20年8月20日、旧ソ連軍の侵
 攻を受けた樺太で最後まで任務を果たし、自らの命を絶った真岡(現ホルムスク)郵便局の9人の女性交換手の最後
 の言葉が刻まれた慰霊碑「九人の乙女の碑」、樺太犬ジロの像がのっている、南極観測隊に同行し活躍した樺太犬の
 訓練記念碑、行幸啓記念碑などがある。

 稚内公園 「氷雪の門
    稚内公園 「九人の乙女の碑」 稚内公園から、宗谷海峡と遥かに宗谷岬を望む
 
    稚内公園 行幸啓記念碑 稚内公園 樺太犬の訓練記念碑
 

  稚内公園から再び稚内港のフェリー乗り場に戻り、この前にある稚内シーフードセンターでの昼食だが、その前に近く
 の「北防波堤ドーム」を見て来る。ここは、フェリーターミナルがある北埠頭のシンボルで、強風と荒波を防ぐ全長427m
 高さ13.6mの半アーチ型の波よけドームは、70本の太い円柱と半アーチ型回廊を持つ世界でも珍しい建築物であ
 る。

 
    稚内 「北防波堤ドーム」   稚泊航路記念碑 「C55 49」蒸気機関車の動輪と車軸
 

  ドームの中央付近の前には、稚泊航路記念碑が立っている。大正12年(1923)〜昭和20年(1945)まで、稚内と大
 泊(現コルサコフ)を結んだ稚泊航路は、太平洋戦争中は旅客や貨物を運び、終戦時には樺太島民の引き揚げに貢献
 したのである。その隣りには、昭和12年に製造され、昭和20年までは、稚泊連絡船への接続列車を、戦後は急行「利
 尻」を牽引するなど大活躍をした「C55 49」蒸気機関車の動輪と車軸が飾られている。

 
  今日の昼食はバフンウニ一折(100g)付だ。半分をウニ丼に、残りをにらの玉子とじにしていただく。甘味があって美
 味しい。う〜ん満足、満足!
 
  今回のツアーの最後は、稚内空港のちょっと手前の大沼。周囲約10km、最深約1.5mの大沼は、道内有数の野鳥
 の宝庫である。特に、春と秋の2回、コハクチョウが渡りの途中に群れをなして訪れることで知られている。
 
  この大沼に白鳥を呼んだのは、白鳥おじさんこと吉田さんで、本職は漁師さんなのですが、16年間世話と観察を続け
 ており、今では、4万羽もの白鳥が飛来するという。湖畔にバードハウスが建っていて、丁度吉田さんがいて、苦労話
 などを聞かせてもらうことが出来た。

 
           白鳥叔父さんこと吉田さんのお話し          稚内 大沼湖畔にて 遥かに利尻富士が望める
 
  これでこのツアーの観光はすべて終え、すぐ先の稚内空港で、ANA574便の搭乗券を貰い解散となる。
  ANA574便は定刻15:05に離陸、定刻の16:55羽田空港に着陸、新宿で食事をして無事我が家に帰着。

 
  天候にも恵まれ、可愛らしい高山植物や素晴らしい景色、ウニ、ホタテ、などの美味しい海の幸を堪能できた2泊3日
 の旅だった。
                                                             おわり

                                  
 
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