2007.10.8〜9


 第1日目(10/8 MON) 

かみさんと二人で、黒部峡谷・トロッコ電車と宇奈月温泉、立山黒部アルペンルートへの一泊二日のツアーに参加。今回も新幹線での出発ということで、東京駅に8:15の集合。我々一行は38名で、添乗員さんは高橋さんだ。

 長野新幹線「あさま509号」に乗り込む。曇天の中、定刻の8:40に東京駅を発車。車窓の景色を眺めながら缶ビールでのどを潤していると、碓氷峠を越えて軽井沢に着く。残念ながら雨が降り出している。雨の中を、佐久平、上田を通って、10:20長野駅に到着。さすがに新幹線は早い。

 長野駅前には、バスが待っていてくれて、我々一行を載せてスタート。市内を抜けて、須坂長野東ICより上信越自動車道に入り、上越JCTより北陸自動車道に入って間もなくの名立谷浜SAで休憩。雨中の北陸自動車道を走りながら、昼食のお弁当を食べる。バスは黒部ICで高速道を下り、ドライブイン「黒部あるぺん村」で休憩後、13:30宇奈月駅前に到着。相変わらず雨が降っている。
       
 これから黒部峡谷をトロッコ電車で、鐘釣まで行ってくるのであるが、予約してある電車は、14:56発なので、一旦今夜の宿、宇奈月温泉「グリーンホテル喜泉」に寄り、荷物を預け、一休みしてから再び宇奈月駅へ。黒部峡谷鉄道の宇奈月駅前には、「黒部川電気記念館」があり、秘境黒部の魅力と黒部川電源開発に挑んだ人間ドラマをマルチ映像と立体模型で紹介している。そして、建物の前には、電源開発の初期から活躍した電気機関車が展示されている。

    
      黒部峡谷鉄道 宇奈月駅         黒部川電気記念館      記念館前に展示されている電気機関車

 トロッコ電車(黒部峡谷鉄道)は、大正12年(1923年)9月、宇奈月〜猫又間の工事に着手。大正15年に難工事の末開通。その後次々と伸長し、昭和12年(1937年)7月、欅平まで総延長20.1kmの黒部軌道が完成した。黒部軌道は電力会社の専用鉄道として、電源開発のための建設用資材や作業員の輸送が主な役割で、時には、便乗の客に「命の保障はしません」と切符の裏に書き、これを了解の上で乗車させたこともあったという。昭和28年(1953年)11月に地方鉄道法による営業免許を受け営業を開始。昭和46年(1971年)7月、関西電力から独立し、黒部峡谷鉄道として現在に至っている。

       
                        黒部峡谷鉄道 トロッコ電車(模型)

 トロッコ電車は、宇奈月駅から欅平駅まで全長20.1km。41のトンネルを抜け、21の橋を渡る。駅は10ヵ所あるが、観光客が乗降できるのは途中の黒薙駅、鐘釣駅を含む4ヶ所のみである。車両は、窓のない普通客車、窓の付いた特別客車・リラックス客車、天井がガラス張りのパノラマ車両がある。

       
        トロッコ電車の機関車(宇奈月駅にて)                窓のない普通客車

 我々一行は普通客車なので、雨合羽を着て乗り込む。宇奈月を出発するとすぐに新山彦橋を渡って黒部川右岸に移る。ここから鐘釣のすぐ手前まではず〜と右岸を走るので、進行方向右側に座ると、上から見下ろす峡谷のスリリングな眺めを楽しめるのであるが、生憎と左側に座ってしまった。(帰りには、谷側に座ろう・・・)。

             
                        黒部川に架かる山彦橋(一般の道路用)

 二つ目のトンネルを抜けると、最初の駅・柳橋に隣接している、ヨーロッパの古城のような新柳河原発電所が見えてくる。宇奈月ダム建設により柳河原発電所が水没するため、1993年(平成5年)に新たに建設されたものである。
 柳橋駅と森石駅間の途中に、赤い帽子と前垂れをした仏石がある。かつて黒薙温泉等への湯治客が休む茶屋があり、入山者が安全を祈願していたと伝えられている。トンネルの連続する合間に、右手に一瞬見えるだけなので、車内放送の案内を聴いただけで見れなかった。

    
     新山彦橋を渡るトロッコ電車    森石駅でのすれ違い(リラックス客車)     森石沢に架かる石橋

 25分ほどで黒薙に到着。ここでも宇奈月行き電車を待ち合わせ。トロッコ電車は冬季は運休となるため、黒部峡谷沿いにある発電所等へ通うための冬季歩道(トンネル)が線路の脇に通っている。そして、黒薙駅より20分ほど歩いたところの黒薙温泉は、1868年(慶応4年)に開湯した黒部峡谷で一番古い温泉で、湯量は豊富で、約8km離れた宇奈月温泉の全てをまかなっているのである。

    
   黒薙駅での対向列車の待合わせ      対向列車の普通客車           線路脇を通る冬季歩道

 黒薙を出て峡谷沿いに暫く走ると、右手前方に高さ76.7mの出し平ダム、いつもはエメラルドグリーンに輝くダム湖(今日は雨で増水しているため茶色に輝く?)とそこに垂直に落ち込む岩山・出六峰が見えてくる。

 出平(だしだいら)を過ぎ、猫又駅の手前、対岸にそそり立つ高さ200mの花崗岩でできている岸壁は、ネコに追われてきたネズミも登れずに引き返したことから「ねずみ返しの岩壁」と呼ばれている。また、ネズミを追ってきたネコも、岩壁を登れず引き返したことから、この地を猫又というようになったのだそうである。

 猫又には、黒部峡谷の2番目の発電所「黒部川第二発電所」がある。昭和6年(1931年)に軌道が猫又から小黒部まで延長されたことに伴い、昭和11年(1936年)に竣工した発電所である。

    
      出し平ダム(帰路に撮影)     黒部川第二発電所(帰路に撮影)    猫又駅で停車中(帰路に撮影)

 猫又を過ぎるとやがて右前方に、鐘を伏せた形の東鐘釣山が見えてくる。晶質石灰岩の塊でできている岩山で、釣鐘に似ていることからこの名が付いている。そして、間もなくトンネルを抜け鐘釣橋を渡って黒部川の左岸に移る。このあたりを錦繍関といい紅葉の名所である。例年であれば大分色づいてくる頃であるが、今年は遅れていて、黒部峡谷はまだ殆んど紅葉していない。残〜念!

 宇奈月からおよそ1時間で、終点の欅平の二つ手前の駅である鐘釣に到着。我々一行はここで下車。ここ釣鐘の鐘釣温泉は、文政2年(1819年)に猿が入浴していて発見されたという温泉で、二軒の温泉宿がある。また、河原に湧き出る露天風呂が有名である。対岸の黒部万年雪を見ながらの雪見風呂が楽しめるのである。

    
                   黒部峡谷鉄道 鐘釣駅                     鐘釣温泉 鐘釣美山莊

 駅より3分ほど行くと、「万年雪展望台」へでる。百貫山に降った雪が、谷に堆積して翌冬まで万年雪として残っているはずであったが、今年は降雪量も少なく、加えて猛暑のため残念ながら雪は解けてしまっている。

       
                万年雪展望台                万年雪のあったところ(中央の三角のところ)

 雨は大分小降りになったので、万年雪展望台を通り過ぎて線路沿いに進むと、二軒ある宿の一つ「釣鐘温泉旅館」がある。ここには足湯もあるのだが、今日はお休みしている。ここを過ぎ更に進むと、急な階段があり、これを下りると河原に下りられるのであるが、今日は雨で増水しており、立入が禁止されている。従って、河原に湧き出るという露天風呂に行くことができない。こちらも残〜念!

    
         鐘釣温泉旅館             鐘釣温泉旅館の足湯           河原に下りる石段

 鐘釣駅へと戻り、17:03発のトロッコ電車宇奈月へ向かう。今度は同じ進行方向左側だが、峡谷側に座る。しかし、大分暗くなってきて、折角の峡谷の美しさを十分に見ることができずで、これまた残〜念!

 17:58 宇奈月駅到着後、バスにてすぐ近くのホテルへ。宇奈月温泉は黒部峡谷の玄関口にあたり、電力開発をきっかけとして大正12年(1923年)に、黒部川上流8kmの黒薙温泉から引き湯をして誕生。現在は富山県を代表する温泉地となっている。


                                               <2日目につづく>


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