聖地サンチャゴとポルトガル 8日間の旅

                                                            2016.11.1〜8


 1日目 フランクフルト経由ポルトへ

 
・2日目 ギマランイス歴史地区観光
       サンチャゴ・デ・コンポステーラ観光


 ・3日目 ポルト市内観光〜アヴェイロ市内観光〜
       コインブラ市内観光〜ナザレへ

 ・4日目 トマール観光〜バターリャ観光〜ナザレ観光

 ・5日目 オビドス観光〜シントラ観光〜ロカ岬〜リスボン

 ・6日目 リスボン市内観光〜エヴォラ観光

 ・7日目、8日目 フランクフルト経由にて帰国


第6日目(11/6 SUN)   リスボン市内観光〜エヴォラ観光

 今日はリスボンの市内見学とポルトガル東部の城壁に囲まれたアデレージョ地方の古都エヴォラの観光だ。9:00にホテルを出発、昨日とうって変わっての晴天。まず、スペイン広場にある小さな凱旋門やジョアン5世治世下の1728年に着工し、20年かけて完成した、高さ65m、地下に埋まっている所も含めると全長18kmという世界で最も高い石造りのアーチであるアグアス・リブレス水道橋などを車窓から見ながら、リスボン中心部からテージョ川沿いに西にあるベレン地区にあるベレンの塔へ。

リスボン
スペイン広場にある小さな凱旋門 アグアス・リブレス水道橋


 ベレンの塔は、テージョ川を行きかう船を監視し、河口を守る要塞として建てられた見張り塔。正式名称を「サン・ヴィセンテの砦」といい、ヴァスコ・ダ・ガマの世界一周の偉業を記念し、マヌエル1世の命を受けフランシスコ・デ・アルーダが設計、1519年に完成した。
 高さは約35mあり、軍事的に機能した後は、船の通関手続きを行う税関や電報局に転用されていったマヌエル様式を代表する建築のひとつである。

リスボン
ベレンの塔


 また近くに、飛行機の記念碑があるが、これはサカドゥラ・カブラルとガーゴ・コーチニョの記念碑といい、二人は、1922年、イギリス製のフェアリーV水上機の改造機でリスボンからリオデジャネイロまでの南大西洋横断飛行を行った。その名誉を称えた記念碑である。

リスボン
サカドゥラ・カブラルとガーゴ・コーチニョの記念碑


 次いで、その近くにある、大航海時代の幕開けを導いたエンリケ航海王子の没後500年の記念行事として1960年に建てられた記念碑である発見のモニュメントへ。

 帆船をモチーフにした高さ52mの巨大なモニュメントの先端には、カラベル船を手にしたエンリケ航海王子が佇む。その後方に従うのは、ヴァスコ・ダ・ガマをはじめとする、この時代に活躍した32名のいひと偉人像である。
 残念なことに、改修中でよく見えない・・・

リスボン
発見のモニュメント


 モニュメント前の広場には、大理石の世界地図が描かれていて、ポルトガルが発見した国及びその年号が記されている。日本は1541年となっているが、これは1543年の種子島上陸に先立ち、ポルトガル船が豊後に漂着した年である。

リスボン
発見のモニュメント前広場に描かれた世界地図


 発見のモニュメントのブラジリオ通りを挟んで向かいがインペリオ広場で、この広場に面してポルトガル黄金期を象徴するジェロニモス修道院がある。

リスボン
ジェロニモス修道院


 ジェロニモス修道院は、ヴァスコ・ダ・ガマによるインド航路開拓及び、エンリケ航海王子の偉業を称え、1502年にマヌエル1世によって着工され、1511年に回廊など大部分が完成したものの、その後、マヌエル1世の死やスペインとポルトガルの同君連合による中断等もあり、最終的な完成には300年以上もの年月を費やし、19世紀に完成した。

 マヌエル様式を代表する壮麗な修道院は、まさに大航海時代の栄華を反映させた、ポルトガル建築の最高峰と讃えられ、1983年にベレンの塔とともに世界遺産に登録された。

 日曜日ということもあり、一般の観光客は入場するのに長い列を作っていたが、我らは団体入口から待たずに入場でき、ちょっと申し訳ない気がする。

リスボン
ジェロニモス修道院


 西門から入りサンタ・マリア教会へと進む。聖母マリアを讃えるために造られた身廊と二つの側廊からなる三廊式の教会で、修道院に付属している。天に向かって聳える柱は、ヤシの木を模したといわれ、海をモチーフにした模様が刻まれている。

リスボン ジェロニモス修道院 サンタ・マリア教会
 中心礼拝堂後方にある、キリストの生涯を描いたローレンス作の5枚の飾り板 南側の壁面に埋め込まれたステンドグラス


 教会に入ってすぐの左側に、インド航路を発見したヴァスコダ・ガマの石棺、右側に、その偉業を一大叙事詩としてうたいあげたポルトガル文学史上最大の詩人、ルイス・デ・カモンイスの石棺が置かれている。

リスボン ジェロニモス修道院 サンタ・マリア教会
ヴァスコダ・ガマの石棺 ルイス・デ・カモンイスの石棺


 教会から、中庭を囲む55m四方の回廊へ。1階はフランス人建築家ボイタック、2階はその死後に建設を引き継いだジョアン・デ・カスティーリョが手掛けたもので、完成度の高さからマヌエル様式の最高傑作といわれる。
 石灰岩を用いた外柱やアーチには、ロープや貝、異国の動植物といった大航海時代を象徴するモチーフが彫り込まれている。

リスボン ジェロニモス修道院 回廊


 回廊を巡り、マヌエル1世の守護聖人ジェロニモスを描いた絵が飾られている食堂を見て外へ出る。

リスボン ジェロニモス修道院 食堂


 前の広場で、騎馬隊なども加わって催しごとが行われていた。

リスボン ジェロニモス修道院


 また、修道院前のインペリオ広場には、民芸品や土産物を売っている露店がたくさん並んでいたので、ブラブラと眺めてくる。

リスボン
インペリオ広場の露店


 ジェロニモス修道院の見学を終え、現在は大統領公邸になっているベレン宮殿の前から、中央にアフォンソ・デ・アルブケルケ記念碑が建つ、1753年に造られた当時、船着き場であったアフォンソ・デ・アルブケルケ広場の前を通って、国民的詩人として られるルイス・デ・カモンイスの立像があるカモンイス広場の前からサン・ペドロ・デ・アルカンタラ展望台へ行く。旧市街バイシャ地区の西側にある展望台で、小さな公園になっていて、正面にサン・ジョルジェ城とリスボンの街並みが見渡せる。

リスボン
 ベレン宮殿 16世紀の貴族により、テージョ河岸の丘に建てられた宮殿。現在は大統領公邸である  アフォンソ・デ・アルブケルケ広場 アフォンソ・デ・アルブケルケは16世紀初頭のポルトガルの植民地征服者である
 カモンイス広場 リスボンの中央部、バイロ・アルト地区にある広場。中心にカモンイスの立像がある サン・ペドロ・デ・アルカンタラ展望台
 サン・ペドロ・デ・アルカンタラ展望台 旧市街バイシャ地区の西側にある展望台で、小さな公園になっている。  サン・ジョルジェ城 古代ローマの砦を基とした城。5世紀の西ゴート族、9世紀のアーム人、12世紀のキリスト教徒、14〜16世紀のポルトガル王家など、時代ごとにリスボンを支配した各民族の足跡が残る


 サン・ペドロ・デ・アルカンタラ展望台の脇から、ケーブルカーグロリア線が走っている。リスボンのケーブルカーは、七つの丘の街の低いところと高いところを短距離で結んでいて、グロリア線、ラヴラ線、ビッカ線の3路線がある。

 我々も上の駅、バイロ・アルトから下のレスタウラドレス広場まで乗っていく。乗車時間はわずか5分ほどだが、料金は社内で払うと3.6ユーロもする。

リスボン
 グロリア線は車内が水平になっていて、前後の勾配の分、下側は、この写真の様な特徴的な形をしている。
ケーブルカーの車内 ケーブルカーの運転席


 1640年にスペインからの独立を記念して建てられた高さ30bのオベリスクの建つレスタウラドレス広場からは再びバスに乗り、初代ブラジル国王となったペドロ4世の銅像が立っているロシオ広場、低地バイシャ地区と高地シアード地区を結んでいるサンタ・ジュスタのエレベータ、ドン・ジョゼ1世の騎馬像の立つコメルシオ広場などの市街を巡り、リベイラ市場へ。

リスボン
レスタウラドレス広場 ロシオ広場
コメルシオ広場
サンタ・ジュスタのエレベータ 官庁舎前の広場に立っている大きなガロ


 カイス・ド・ソドレ地区に1892年にオープンしたリスボンの台所、リベイラ市場が2014年5月にリニューアルし、グルメなフードコートを併設して生まれ変わった。
 この巨大なフードコートには、人気のリスボンの有名店が軒を並べており、伝統的なポルトガル料理はもちろん、寿司を始めとしたオリエンタル料理、ステーキ、ハンバーガー、ピザまでと幅広いラインアップが特徴だ。ここで、各自フリーで昼食を摂る。我々はあさりのワイン蒸しを食べた。

リスボン
リベイラ市場


 昼食後、4月25日橋を渡り、城壁に囲まれたアデレージョ地方の古都エヴォラへ向かう。途中のSAで休憩し、およそ2時間でエヴォラに到着。

リスボン
 4月25日橋とその袂に立つ高さ110mの巨大なキリスト像
 4月25日橋は、1966年8月6日に開通した。当初は、当時のポルトガルの独裁者アントニオ・サラザールにちなみ、サラザール橋と呼ばれていたが、1974年4月25日のカーネーション革命のすぐ後、革命が起こった日から名前をとって改称された。長さは2,277mで、上段が6車線の道路、下段が複線の鉄道となっている。

リスボン〜エヴォラ
沿道に広がるコルク樫の畑 コルク樫の木


 エヴォラは古代ローマやイスラムの文化の歴史と面影を宿す、城壁に囲まれた街。16世紀にはイエズス会の大学が創設され、世界中から知識人が訪れたアレンテージョ(テージョ川の彼方を意味する)地方の中心地である。1986年、世界遺産に登録された。

 街の南側のフープリコ・デ・エヴォラ庭園のところでバスを降り、庭園の中を通り、人骨堂が付属しているサン・フランシスコ教会へ。

エヴォラ
街を囲んでいる城壁


 サン・フランシスコ教会は、1226年に建てられたロマネスク様式の教会の跡地に建立され、1550年に完成したゴシック様式の教会。入口は、ゴシックとイスラムの様式が融合した、馬蹄形のような7つのアーチとなっている。
 内部は、マヌエル様式で装飾されていて、祭壇に向かって左側の翼廊には、銀の祭壇の上に、磔になったキリスト像と、それを取り巻く天使の像が飾られている。壁にはブルーのアズレージョが装飾され、豪奢な雰囲気が漂う。

エヴォラ
サン・フランシスコ教会


 サン・フランシスコ教会見学後、ロマン・ラマーニョ通りから街の中心である、街をイスラム教徒から解放したエヴォラの英雄ジラルドの名を冠したジラルド広場へ出て、そこから、1910年ポルトガルが王政から共和制へと変わり、それを記念する10月5日通りを通ってカテドラルへ。カテドラルの中の見学は後に回し、その先にあるディアナ神殿へ。

 ディアナ神殿は、 1世紀にローマ皇帝アウグストゥスを祀るために造られたコリント様式の神殿で、月の女神ディアナを祀ったものであるとの俗説からディアナ神殿とよばれている。土台と柱頭には大理石、柱身には御影石が使われている。

エヴォラ
ディアナ神殿


 ディアナ神殿の先に小さなディアナ庭園があり、その奥、1番眺めのいい場所に、日本人彫刻家、北川晶邦氏の「波立つ海の中に光る満月」の彫刻が置かれている。(どうしてここにあるのだろう?)北川晶邦氏は、リトアニア共和国のヴィリニュスにある、杉原千畝を称えた『月の光よ永遠に』という彫刻の作者でもある。

エヴォラ
ディアナ庭園の彫像 「波立つ海の中に光る満月」の彫刻


 ディアナ神殿とディアナ庭園を見た後、カテドラル(エヴォラ大聖堂)の中を見学する。カテドラル(エヴォラ大聖堂)は、1280〜1340年の間に、ロマネスク様式からゴシック様式に変わる時代に建てられたものなので右の塔がゴシック様式、左の塔がロマネスク様式となっている。

 広い本堂は、トンネル状ヴォールト(かまぼこ型を特徴とする天井様式および建築構造の総称)で、内装は、白いモルタルを高い壁と柱、ヴォールトに塗りアクセントをつけている。

 祭壇に向かって身廊左側上部に、16世紀に作られたパイプオルガンが見える。1584年9月にエヴォラを訪れた天正遣欧少年使節の伊東マンショと千々石ミゲルは、このカテドラルでパイプオルガンを演奏したといわれている。このオルガンは今でも演奏可能なオルガンで最も古いオルガンの1つだそうである。

パイプオルガン 回  廊


 1317年から1340年にかけゴシック様式で建てられた回廊へ出てひと回りしたあと、螺旋階段を登り屋上に上がってみる。エヴォラの街と城壁の外に広がる緑の丘陵の美しい風景が見渡せる。

カテドラルの屋上と市街の眺め


 カテドラル見学後、隣接するエヴォラ美術館コンヴェント・エヴォラ(ポウザーダ)を外から見て、10月5日通りのお店を覗きながらジラルド広場へ戻る。この地方の特産であるコルク製品がたくさん売られている。

エヴォラ
エヴォラ美術館 コンヴェント・エヴォラ(ポウザーダ)
10月5日通り
10月5日通りのお店 ジラルド広場


 ドン・マヌエル宮殿を見ながらフープリコ・デ・エヴォラ庭園を通ってバスに戻り、エヴォラ歴史地区の観光を終える。

エヴォラ
 ゴシック様式とルネサンス様式が融合したドン・マヌエル宮殿  フープリコ・デ・エヴォラ庭園にある、ヴァスコ・ダ・ガマ像。1519〜1524年まで晩年をエヴォラで過し、邸宅も残っている。


 きれいな夕焼けを眺めながら帰りは、リスボン万博前の1998年3月に開通した、全長は17.2kmで欧州最長の橋、ヴァスコ・ダ・ガマ橋を渡りリスボンに戻る。

エヴォラ〜リスボン
ポルトガルのサンセット 欧州最長のヴァスコ・ダ・ガマ橋


 市内のレストランで夕食を摂りホテルに戻る。



第7日目(11/7 MON)   フランクフルト経由にて帰国

 聖地サンチャゴ・デ・コンポステーラポルトガルの観光を終え帰国の途へ。リスボン空港12:15発ということで、ゆっくりホテルで朝食を摂り、9:45ホテルを発ち、リスボン空港へ。
 ルフトハンザ航空のLH1167便にて、およそ3時間のフライトでフランクフルトに到着。ここでEU圏出国審査をし、およそ4時間の待ち合わせの後、20:45発ANAのNH0224便にて羽田へ。


第8日目(11/8 TUE)   帰 国

 空席の目立つNH0224便は順調に飛行し、およそ11時間30分のフライトで、定刻の16:00に羽田空港に着陸。通関後、リムジンバスで調布へ。20時に無事、我が家へ到着。お疲れさま!!

 今回の旅行は、ちょっと降られたところもあったが概ね天候に恵まれ、メンバーも14名と少なく、スケジュール的にもゆったりとしてよかった。
 カテドラルや修道院、教会といった古一建築物が中心の世界遺産となっている歴史地区での、ロマネスク、ゴシック、ムデハル、マヌエル、ルネサンスといった様々建築様式の建築物、素晴らしいアズレージョ、そしてユーラシア大陸最西端に立てたこと等々、旅を楽しむことができた。シーフードを中心とした料理も美味だった。

 同行の方々および添乗員の北橋さん、お世話様でした。お陰で楽しい旅をすることができました。いつかまたどこかでお会いできるかもしれません。楽しみです・・・・・・。


                                                           おわり


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